長かったコロナ騒ぎも終わり、ようやく以前の状態を取り戻したかのように思えます。景気回復の兆しはいっこうに見えてきませんが、社会全体がなんとなく元気を取り戻しつつあるような印象は受けます。
風俗業界の現状はどうなっているのでしょう? コロナ渦で客足が激減し、廃業に追い込まれた風俗店が数多くありました。いっぽうで、オナクラやメンズエステといった新たな業態で新規開業が相次いでおり、いま風俗業界は時代の転換期にさしかかっているのかもしれません。
外国人客に依存するソープランド
先日、10年来の付き合いである中国人女性と久々に会う機会がありました。彼女から「今は滋賀県の店で働いている」と聞かされていたので、てっきり雄琴のソープランドかと思っていたのですが、そうではなく、雄琴温泉にほど近い場所で営業する中国人エステの健全店だということがわかりました。
彼女曰く、「ソープランドは中国人の観光客が多くて、マナーが悪いから嫌だ」とのこと。
実はここ数年で、外国人客の受け入れを解禁したソープランドが多いと聞きます。ソープだけでなくファッションヘルスなどでも、片言の日本語が話せる外国人であれば入店OKとしている店が増えてきています。
とくに温泉街にあるソープランドやファッションヘルス、ピンサロなどで、その傾向が高まっているようです。
年々、日本人の風俗利用客(おもに若年層)が減少してきており、生き残りをかけ、苦肉の策として外国人客の受け入れを解禁する店が増えているという話は以前から耳にしていましたが、中でも外国人観光客の割合が多い温泉街では、もはや日本人客のほうが少数という店もあり、外国人客を受け入れるのが当たり前のようになっているところもあるのだとか。
都市部ではまだまだ外国人客の利用はそれほど多くありませんが、2025年4月~10月にかけて『大阪・関西万博』が開催され、それをきっかけに日本に定住する外国人も増えるだろうと予想されています。今後、少しずつ外国人による風俗利用が増えていくのではないかと私は考えています。
相変わらずな中国人エステ
日本人風俗と同様、中国人エステもコロナ渦で大きな打撃を受けました。私の生活圏内でも、軒並みにあった中国人エステが3分の2以下まで減少してしまいました。コロナ恐怖症に陥って風俗稼業を引退したり、中国に帰ってしまった女性も多かったと聞きます。
しかし今、コロナ騒ぎが去ったあとの歓楽街を見回してみるとどうでしょう。「雨後の筍」ならぬ「コロナ後のチャイエス」状態です。
日が暮れてから大阪の日本橋や十三あたりの細い通りを覗いて見ると、チャイエスの派手な電飾看板が煌々と光っています。露出度の高い服装をした女の子が店前で椅子に座って客引きをしている光景を日常的に目にします。
こんなに軒並みに店を出して採算がとれるのだろうか? そう思い、私の知り合いの店長がいる中国人エステへ話を聞きに行ってみました。
「コロナ前よりはお客さんは確実に減ってます。でも女の子の数も減ってますから、利益はほとんどかわりません。今はどこの店も少人数で回してますから、なんとかやっていけてますよ」と話してくれた店長。
日本人風俗に通いながらときどき寄り道をする〝にわか客〟の足は遠のいてしまったようですが、根っからのチャイエス好きは相変わらずチャイエスにばかり通い続けているのだとか。
「うちらの店はバックに会社がありますから、そう簡単につぶれることはありません。コロナで廃業したのは個人経営の店です」と店長は言います。
中国人エステ(中国人ホテヘルも含む)の多くは会社組織によって運営されており、関西一円、東京都および副都心エリアといった感じで広い範囲にネットワークを持っているため、在籍嬢を使い回すことができ、経営面でも個人店より融通が利くのだという話です。
ちなみに、そのバックにある会社というのは、一部では中国人マフィアがからんでいることもある、ちょっと怖~い存在なのだと聞いたことがあります。
ヘルス店こそ安泰の時代
「既存のヘルス店はこれから安泰ですよ」
某有名風俗ポータルサイトの元営業マンだったY氏の言葉に、私は驚かされました。
コロナ渦でとくに打撃を受けたデリヘルやホテヘル。多くの店が廃業に追い込まれました。
ところがY氏曰く、「これから良くなっていくと思います。何だかんだ言って、日本の風俗で最後まで残るのは、やっぱりヘルスじゃないですかねぇ」とのこと。
コロナ渦でヘルス系の風俗店が数多く廃業したのは事実ですが、生き残った既存店の多くは、コロナ前の売り上げには届かないものの安定した経営を続けているというのです。在籍嬢の数をあまり増やしすぎず、細々ながら確実に売り上げを維持する経営方針に変わってきているのだとか。
「本番NGだからこその楽しみ方ができるのがヘルスです。その楽しみ方を店側もお客さん側も互いに模索し続けてきたことで、ヘルスという日本独自の風俗は発展してきたのだと思います」
そう話してくれたY氏。既存のヘルス店は真面目な商売をしている店が多いと言います。
ひと昔前までは違法営業をするヘルス店はいくらでもありましたが、もうそういう時代は終わったのだとY氏は言います。
「違法営業の店は、今はメンズエステとかリフレとか、そっちのほうが多いですねぇ」
新型コロナの影響や、急増する性感染症への不安もあって、粘膜接触の少ないメンズエステやオナクラ店、リフレ店といった新たな業態の風俗店が人気を得ている昨今ですが、同時にそういった業態で違法営業が増え続けているのも事実です。
当局の取り締まり強化によりメンズエステは減少する?
「来年の春から『大阪・関西万博』が始まるでしょ? あれでまたやられますよ」
『大阪・関西万博』開催に向けて違法な風俗店やエステ店への取り締まりが強化され、今年までにすでに多くの違法店が摘発されました。
「この年末から来年春の開催までのあいだに、さらに大掛かりな手入れがあるんじゃないですかねぇ」
新規開業が後を絶たないメンズエステですが、同時に違法なサービスを提供する店も後を絶たず、当局は警戒を強めています。
「ホテヘルのときと同じで、警察はビルのオーナーにも通達を出して、二度と入居させないようにするかもしれませんよ」
デリヘルやホテヘルといった性風俗特殊営業に分類される店が違法行為により摘発された場合、警察はその物件(ビルやマンションなど)のオーナーに対し、今後一切、同様の業態の店舗を入居させてはいけないと通達を出すことができます。これが、今後はメンズエステなどの業態にも適用されるようになるのではないかと、Y氏は話します。
「条例が改正されて、メンズエステも性風俗に含まれるようになったら、いずれホテヘルや箱ヘルみたいに新規開業ができなくなるかもしれませんねぇ。まあ、当分は大丈夫でしょうけど……」
Y氏が言うのは大阪府の条例のことで、現在、大阪府下では店舗で受け付けをする業態の風俗店の新規出店は一切禁止されています。新規出店するとしたら完全な無店舗型であるデリヘルしかありません。
「メンズエステとかリフレとかって、今すごい人気あるでしょ? ヘルスに取って代わる勢いじゃないですか。風俗業界は今、転換期に来てると思うんですよ。それで、一種の混乱状態っていうか……。勢いがある時って、悪いことする人も増えるんですよ。そういう時期を経て、だんだん落ち着いてくるんじゃないですかね。ヘルス系の店はそういうのをとっくの昔に終えて、今があるんですよ。だから今後は安泰です」
私はY氏の話になるほどと相槌を打ちながら、どこかしんみりとした気持ちになってしまいました。