こんにちは、元エロ本編集者の蒼樹リュウスケです。
エロ本の付録としてDVDが欠かせないものになって、かなりの年月が経過しました。
現在では「DVDが付録になっていないエロ本」なんて存在そのものが、非常にレアなものとなっていますよね。
まあ、それを言い出したら「エロ本そのもの」が、もうめったに目にしないものとなってしまっているんですが……。
それはともかく。
私が素人投稿エロ本の編集者として働き始めた頃、ちょうどその編集部では「素人投稿映像を使ったエロ本」の制作がスタートしていました。
そこで私も、素人投稿のエロ映像に関わることになったのですが……。
これがもう、キツイことキツイこと。
できれば「もう二度と関わりたくない」と、ちょっと今でも思ってしまうほどのトラウマとなっております。
具体的にどんな部分がキツかったのか、今回はご紹介しましょう。
素人投稿のエロ映像はとにかく「モザイク作業」が大変!
なぜ素人投稿のエロ映像を使ったエロ本の編集が大変だったのかと言うと、単純に「モザイク作業にめちゃくちゃ時間がかかる」との問題があったためです。
最初は外部のモザイク業者に依頼していたのですが、あまりの作業量の多さに業者から「倍額もらわないとやってられない」との話が。
もちろんそんなに支払うと、編集予算を大幅にオーバーしてしまうので、それは不可能な話です。
それではどうするか、と言うと、編集者が日々の作業の合間に、チマチマとモザイク作業をおこなわなければならないわけですね。
そしてそういう単純作業は、私のような下っ端に回ってくるわけで。
AVのような映像のモザイク作業なら、そこまで大変でもないんですが、素人投稿エロ動画にはAVのモザイク作業とは違った、大変な部分があったんです。
素人投稿エロ動画は顔モザイクや目線モザイクが必要
AVと違い、素人投稿エロ動画は写真と同じように、顔モザイクや目線モザイクが必要となります。
性器だけモザイクで隠せば良いわけではないので、単純に作業量がケタ違いに増えるわけですね。
しかも女性の顔を全部モザイクで隠してしまうわけにはいかないので、ちゃんと目だけが隠れるように細かくモザイク範囲を指定しなければなりません。
もちろん投稿者からの指定が「目と眉を隠す」「眉から鼻まで隠す」といった場合は、その指示に合った形にモザイクが広めになるように気を使うわけです。
こんな感じで作業していると、10分の映像にモザイク作業が2~3時間かかった、なんてケースも出てきます。
付録DVDの収録時間は、120分程度。
「永遠に終わらないんじゃ……」と絶望しながら、徹夜でモザイク作業をおこなったものです。
素人投稿者は撮影場所に気を使わない
素人投稿者は、基本的にモザイク作業のことを考えて撮影などしてくれません。
そのため撮影場所に気を使ってくれないんです。
つまり「ベッドの横にデカい鏡があるラブホテル」だと、鏡に自分たちの姿が映るため、モザイク作業がさらに倍になる、なんてことは考えてくれないわけですね。
一度、部屋の壁から天井から鏡だらけのラブホテルで撮影した映像が投稿されてきて、そこらじゅうに投稿者の姿が映りこんでいて頭を抱えたことがありました。
まあ、そのレベルになれば、問答無用でボツにできるので、ある意味楽と言えば楽なんですが……。
モザイクチェックに時間がかかる
モザイクをかける場所が増えれば、チェックする場所も当然増えます。
しかも相手は素人の投稿者、もし目線モザイクや顔モザイクがズレたりしたら、大問題です。
モザイク作業だけでなく、チェックにまでとんでもない時間がかかるわけですから、本当に「ウンザリ」としか言いようがありませんでした。
チェック中に、意識を失うように寝落ちしてしまったことも、1度や2度ではありませんね。
素人投稿エロ動画で困ったポイントをご紹介
モザイク作業以外にも、素人投稿エロ動画はエロ本として編集するうえで、かなり大変な部分がありました。
具体的にどういった例が困ったポイントとなったのか、ご紹介しましょう。
ひょっとしたらこのコラムを読んでいる方も、素人投稿エロ画像をエロ本編集部に送るときが来るかもしれません。
そのときの参考にしていただければ、うれしいです。
タトゥーなどが気になる場合はうまく隠れるようにする
個人を特定できないようにするため、タトゥーや特徴的な傷がある投稿者は、よく「タトゥーを隠してください」「傷を消してください」などの指示をくれる場合があります。
写真の場合は画像加工ソフトでタトゥーや傷を消せますが、動画の場合はもちろんそれは不可能。
だからと言って、タトゥーや傷がある場所にモザイクをかけてしまうと、よけいに目立ってしまっておかしな映像になってしまいます。
そんなわけで、タトゥーや傷が目立つ映像は、どんなに女の子がかわいくてもボツにせざるを得ない、そんな事情があるわけですね。
一度「投稿映像が採用されない」との電話を受けたことがあったんですが、その投稿者はちょっと目立つ位置にタトゥーが入っていたので、映像はボツにしていました。
そこで「タトゥーを服とか、包帯を巻くとかして見えなくしてもらえれば採用できますよ」と伝えたところ、その後ちゃんと収録できるようになった、なんて話もあります。
音声の変更希望でも採用は難しい
声から身元バレすることを恐れてか、ときどき「音を加工して、音声を変えてほしい」とのお願いもありました。
気持ちはわからなくはないんですが、この場合もボツにしていましたね。
パソコンで作業すれば音声の加工自体は簡単なんですが、どうしても音声を加工してしまうと「エロさ」がなくなってしまうんです。
簡単に言えば「女の子がヘリウムガスを吸って、甲高い声になって喘いでいて興奮できるか?」という話ですね。
どうしてもマヌケな映像になってしまうので、収録はできませんでした。
複数プレイもモザイクだらけになってしまうので難しい
複数プレイの動画の投稿は、数が少なかったので編集者としては「ぜひ収録したい」と思えるものでした。
……が、これもどうしても「モザイク作業がとんでもなく大変になる」との欠点がありまして。
「できるだけ大人数が映っていない部分を、ちょっとだけ使って収録する」なんて、複数プレイとしては本末転倒なものになってしまっていた、苦い思い出があります。
現在のAVを見ると、大人数の男性が出演する場合、カラミがある男優以外はパンツを履いているケースが目立ちます。
あれは、モザイク作業を簡略化するうえで、非常に有効な手段なわけですね。
想像してみてください、何人もの男性が、チ○ポをぶらぶらさせながら右へ左へ歩いているところを……。
そのチ○ポすべてにモザイクをかける、と考えると、モザイクがけ作業の経験がある人なら気が遠くなるレベルの話です。
複数プレイは「できるだけパンツを履く」そして「可能な限り男性は覆面などで顔モザイクをかけなくて良いようにする」、この2点を当時、投稿者に伝えられたらどんなに楽だったことか……。
そう考えると、タイムマシンを開発して過去に戻りたい、とまで思えてきてしまうのでした。
素人投稿エロ動画のモザイクがけで忍耐力は養われた
素人投稿エロ画像のモザイクがけは、わが人生のなかでもトップレベルに面倒なお仕事だったな、と今でも考えています。
当時はまだ若くて体力もあり、徹夜作業も厭わなかったため平気でしたが、今「あれと同じ仕事をしろ」と言われたら、泣いて断るかと。
とは言っても、あのモザイクがけ作業をこなしてきたことで、現在どんな仕事でも「アレに比べりゃ、楽なもんだ」と思える境地に達しているのもたしかな話です。
忍耐力を身に付けたい人は、素人投稿エロ動画のモザイクがけにチャレンジするのも……は、さすがに無理ですので。
自分でハメ撮りをして、それにモザイクをかけてみるのもアリかもしれません……って、これも無茶振りですかね?