初見の方もいると思うので簡単に説明すると、このシリーズでは僕が昔、ヘルスやピンサロで働いていた時の、珍事件や面白かった出来事を紹介しています。
今回は僕が昔ピンサロで働いていた時の話で、初めて出来た後輩ボーイのお話をしたいと思います。
風俗店は男も女も従業員がすぐに飛んでしまうのが当たり前の業界で、店長だろうと昨日居た人が明日も出勤する保証はありません。そのため、大手のお店以外は慢性的な人手不足で、ギリギリの人数で回しています。
僕が入って暫くすると、先輩のボーイが何人か立て続けに飛び、その穴埋めのために、一同休みなしで働いていました。
そんな中、オーナーのツテで新人が入るとの聞き、これでやっと休みを貰えると喜んでいました。この僕にもついに後輩ができるのかと思うと感慨深く、先輩としてもっと頑張らくちゃないけないと考えていました。
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鳴り物入りの新人君
オーナーの話では、対人スキルは最高で、誰とでも上手くやるかなりのやり手だそうです。
どんな凄い奴がくるのかと期待して、新人初出勤の日にワクワクしながら見に行くと、
居たのがこの人…
👨「……」
(あの~どこの地回りさんですか?)
それが、僕の第一印象でした…
塩見三省さんを少し太らせた感じの顔で、右のこめかみの上から、頬の下まで大きな傷後がありました。
正直、また面倒くさそうな奴が増えたと、内心ガッカリしました。
以降この顔面凶器の後輩をSと呼びます。
幸い僕が働いているのが1号店で、Sは2号店に入ることになりました。2号店に回されたのは、あっちにも懲役帰りの人情派元ヤクザの店員がいて、お互いに気があうだろうと、オーナーの配慮があったのでしょう。
新人歓迎会
そんなSも一応は新人、新しい僕たちの仲間です。オーナーは初出勤が終わると、店長やボーイたちを集めて、お好み焼き屋で新人歓迎会が開かれました。
どうやら、Sは暴力沙汰を起こして刑務所から出てきたばかりらしく、オーナとは知り合いみたいです。
頬の傷は暴走族時代の抗争の時、バス停で殴られたのだと、特攻の拓みたいなことを言ってました。
話したら意外と良い人で、飲み会は大いに盛り上がりました。だだ泥酔してくると、年上だからとダル絡みしてきたので、やはり面倒くさいタイプっぽいです。
まあ、そんなSですが、飲みに行ったり、麻雀したりして皆で仲良く遊んでいます。そしてチャッカリ同じ店のピンサロ嬢を、口説き落として彼女にしていました。
彼女とセックスする時は、毎回、中出しだと自慢げに報告されましたが、心底どうでも良い話だと思ったのをよく覚えています。
まあ、何やらかんやらありますが、それなりにSはマジメに働いていました。
となりの店と縄張りでモメだす
そんなある日、Sは隣のお店のボーイと口論になりました。理由は、些細な事で、お客さんのキャッチについて。
2号店があるピンサロ通りでは、お客様が、道路の歩いている場所によって、声をかけていい店舗の縄張りが決まっています。
その境界の一つである隣の店のスタンド看板を、声をかけたときに、過ぎたか過ぎていなかったで、怒鳴りあってます。
2号店の店長に援軍で呼ばれた僕が到着すると
👿「なんや、ほなワシがテンゴ(うそ)言うてる言うんか?」
🤬「言うもくそも、難癖付けとんのはワレの方やろ!」
お互いにヒートアップして絶好調です。両店舗の人間が周りからなだめていますが一色触発です。
Sはトサカにきたのか、問題の原因である看板を蹴り倒すと「オラ!オラ!」と叫びながら、ストンピングして徹底的に看板をバキバキに破壊して始めました。
とうぜん、隣の店の人も、自分の店の看板を潰されたらメンツが立たず乱闘になります。腕っぷしに全く自信のない僕はもみくちゃになりながら、必死で止めようとはしますが役に立ちません。
すぐにお店のケツを持っている人たちが駆けつけて、事態は収まりましたが、ここからは大人の話し合いになります。
次の日、営業終了後のミーティングが開かれました。話し合いの末、乱闘はしかたないけど、看板を破壊したのは事実だから、オーナーが看板を弁償して手打ちになりました。
前々から立地的に邪魔な場所にある隣の店を潰したいオーナーは、Sを怒るどころか大喜びで
「良いぞもっとやれ!お前らも因縁つけられたら、すぐにやったれや!」
とやる気満々。ワシが責任を持つと従業員を焚き付けます。
しかし、両店舗は互いにムシしあい、表立ったモメ事は起きず、冷戦状態が続きました…
最後は傷害でパクられた
ですがある日の明け方、皆で飲んだ後、早朝ヘルスへと向かった時です。目的地が一緒だったのか、例のモメた隣の店のボーイと偶然にも遭遇します。
Sは酒の力もあったのか、お得意のダル絡みを開始すると、すぐに口論になり、裏路地でタイマンをはることになります。
相手も強かったカモですが、Sは実践慣れしていて、すぐに相手をボコボコにします。額から流血してきてブッチャー状態になると、さすがに周りも「その辺にしとこうぜ」と止めに入ります。
うずくまるボーイをそのまま放置して、早朝ヘルスに行き、その日は解散になりました。
その夜、出勤すると、相手の店のボーイが救急車で搬送されたのを知ります。その後、傷害事件に発展してSは仮釈放中の身だったのに事件を起こしたとして、また塀の中へと逆戻りに…
可哀そうですが、3ヶ月もシャバに居れませんでした…
後日譚
その後、隣のお店とは長きに渡りモメるのですが、オーナーが拠点を仙台に移動したため、僕らの働いていたピンサロ店は閉店します。
隣のお店は、さらにその隣に格安ピンサロが出来て、そこに客を取られて閉店する事になりました。