いつもビール券で買い物をする態度の悪い男性客。半年後、その男は殺人犯になった…。

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いつもビール券で買い物をする態度の悪い男性客。半年後、その男は殺人犯になった…。

裏ネタ

なかぞの 0 1,200 2020/01/06

少し前に書いたコラム『覚せい剤中毒のヤクザが出所して再び姿を現した…。20年前の悪夢がよみがえる!』もそうでしたが、私がかつて酒屋の従業員として働いていたとき、日頃から色々な人と顔を合わす機会があり、中には怖い思いをすることもありました。
 
韓国クラブやセクキャバなどにも納品していたため、ヤクザや裏稼業の人間と知り合うきっかけもたくさん転がっていました。いま思えば、酒屋の仕事というのはある意味、裏稼業みたいなものだったのかもしれません。
 
今回は、そんな酒屋の来店客にまつわる話で、思わずぞっとした体験談をご紹介いたします。

妙にイラついた様子の男

やむを得ない事情により公務員を辞めた私は、AVソフト梱包のアルバイトなどをしたあと、親戚が営む酒屋で働き始めました。
店番をしていると、色々なタイプの客が訪れます。おしゃべり好きな近所の主婦もいれば、ガラの悪い土木作業員もいます。
水商売関係の人も頻繁に来ますし、近所の寮に住んでいる新幹線の客室乗務員の女性たちが、制服姿のまま缶ビールやおつまみ類を買いに来ることもありました。
 
たまに、見かけない顔の人がふらっとやって来ることもあって、その男も、それまでいちども見かけたことのない客でした。
閉店間際にやって来たその若い男は、カウンターに手を突いて身を乗り出すようにし、私の顔も見ずに「これ使いたいんですけど」とぶっきらぼうに言いました。
 
男がカウンターの上に置いたのはビール券でした。30枚くらいあったと思います。
「申し訳ありませんが、このタイプのビール券は、うちではお使いいただけないんです」
私は男が持ってきたビール券を見て言うと、その理由を説明しました。
 
ビール券には、ビールメーカーが発行しているものと、酒販協同組合が発行しているものの2種類があります。私が勤めていた店はボランタリーチェーンのディスカウントグループ加盟していたため組合には入っておらず、男が持ってきた組合発行のビール券は取り扱いできないことになっていたのです。
 
「じゃあ、どこで使えんの?」
 
男は指でカウンターをコツコツ叩きながら、妙にイラついた様子で聞いてきました。
見た感じ私よりも年は若く、色白でかなり痩せ型でした。シルバーフレームの眼鏡をかけていて、髪型は七三分け、一見真面目なサラリーマン風なのですが、どこか嫌な感じの目つきをしていました。
 
「普通の個人経営の酒屋さんだったら、たいてい使えると思いますよ」
 
私が答えると、男は少し考えてから、
 
「じゃあ、コンビニとかスーパーは?」
 
と聞き、私に対して威嚇するような目を向けてきました。
 
「その店が組合に加盟しているかどうかによりますねえ…」
 
私が首をかしげながら言うと、男はカウンターの上のビール券をひったくるようにして取り、何も言わずに速足で店を出て行ってしまいました。

毎回ビール券で買い物をする男

2週間くらい経ったとき、また閉店間際にあの若い男がやって来ました。
このときは先輩従業員が応対していて、私が配達から戻って来ると、ちょうど男が店を出るところでした。
 
「ありがとうございました!」
 
私の言葉を無視して、男は速足で住宅街のほうへと歩き去って行きました。
 
「なんか嫌な感じの客やったわ」
 
先輩従業員が顔をしかめて言いました。
 
「ビール券の引き取り額が安いいうて文句つけやがった」
 
「メーカーの券ですか?このまえは組合の券を持ってきたんで、断ったんです」
 
男はA社が発行するビール券を持ってきたそうです。この時点ですでに大手3社がビール券を廃止していましたが、市場に出回っている分を消化するため、しばらくは一部の卸問屋が便宜的にビール券の取り扱いを肩代わりしていました。小売店は客から正規の2~3割減の価格で引き取り、卸問屋は毎月の仕入れ額からビール券での売上額を差し引いた金額を小売店に請求するかたちになっていました。
 
「うちの店って、そんなに安く引き取ってないですよねえ?」
「ないない。うちはかなり良心的やで。けちな店やったら半額で引き取っとるわ」
 
そう言うと、先輩従業員はタバコを吸うために店から出て行きました。
 
 
それから1週間もしないうちに、若い男はまたビール券を持ってやって来ました。
このときはひとりではなく、妻と思われるベビーカーを押した若い女性がいっしょでした。
女性は店内には入らず、外で待っていました。何やら暗い顔をしていて、ベビーカーで寝ている赤ちゃんの様子を見るでもなく、ただぼーっと立っているだけでした。
 
「これで買えるだけ買うから」
  
男はぶっきらぼうに言い、10枚くらいのビール券を投げ置きました。
 
「計算しますので、しばらくお待ちください」
 
私は電卓で引き取り額を計算しました。デパートの買い物券やカード会社のギフト券などと同じで、ビール券にも色々な額面のものがあります。男が持ってきたビール券はどれも記載額がバラバラでした。
 
「さっさとしろよ」
 
男が小声でつぶやくように言いました。見ると、指でカウンターの上をこつこつ叩いていて、妙にイラついた様子でした。
私も一瞬イラッとしましたが、相手にせず、電卓を打ち続けました。
 
計算した金額を伝えると、男はその分の缶ビールを冷蔵庫から取り出し、不足分を支払って帰りました。
男はベビーカーの女性には見向きもせず、女性のほうも何も話さず男のあとをついていくだけでした。
  
その後も、男はたびたび店を訪れ、ビール券を使って買い物をして帰りました。 
 
「あいつ怪しいぞ。あんな大量のビール券、どこで手に入れてくるんや」
 
男が帰って行ったあと、先輩従業員は腕組みしながら首をかしげました。
 
「そうですよねえ…。メーカーはもうビール券を発行してませんし、市場に出回ってる分だとしても、ひとりであんな大量に持ってるのは不自然ですよねえ」
 
「税務署の職員なんかなあ…」
 
先輩従業員がぼそっと言いました。
 
日本がバブルだった頃、税務署に対して中元や歳暮というかたちでビール券を渡す個人事業主や中小企業の経営者がたくさんいたと聞きます。いわゆる袖の下というやつで、贈収賄にあたる可能性もあると思うのですが、公務員や医者などが関係先や患者から特別な謝礼を受け取ることは、その当時はあたりまえのように行われていたそうです。


毎年、忘年会シーズンになると税務署員が大量のビール券を持って酒屋へ買い物に来る例も珍しくなかったといいます。

突然キレだした男

その日、やはり閉店間際だったと思いますが、あの男がまたビール券を持って買い物に来たのでした。
男はいつになくイライラした様子で、入ってくるなりカウンターの上にビール券を叩きつけるようにして置きました。


店の外では妻と思われる女性がベビーカーに手をかけて待っていました。やはりどこか暗い表情で、ぼーっとその場に立っていました。
 
私は電卓を手に取り、引き取り額の計算を始めました。
ビール券は30枚くらいあって、額面もバラバラだったため、計算するのに少し手間取ってしまいました。
 
「さっさとしろよ!」
 
突然、男が声を荒らげました。
 
「○○円が10枚、○○円が5枚、○○円が10…○○円が…合計○○円!それぐらいさっさと計算しろよ、ボケっ!」
 
男は前もって計算してきていたのでしょう。一方的にまくし立てると、カウンターを蹴とばしました。
 
「ちょっと、何するんですかっ」
「うるさいっ!お前がモタモタしてるからだろっ!」
 
男は金切り声を上げ、カウンターをバンッ!と手で叩きました。
 
「おいっ、何してんねん!警察呼ぶぞ!」
 
私もさすがに穏やかではいられず、大声を出しました。
 
「おいっ、どないしたんや!」
 
配達に出ていた店主が戻ってきて、慌てて私たちのあいだに割って入りました。
 
「この客が…」
 
私が言いかけたとき、男が「あーっ!」と大声を上げ、カウンターの上のビール券を無造作にむしり取りました。そして、その場に立ったままブツブツと独りごとを言ったと思うと、勢いよく身をひるがえし、店から出て行ってしまいました。
 
私も店主もあっけにとられ、男の後ろ姿を呆然と目で追うことしかできずにいました。
速足で歩く男のあとを、妻と思われる女性がベビーカーを押してついていくのが見えました。
 
男が騒ぎを起こしているあいだ、女性はほとんど無反応で、いちどちらっとこっちを見ただけでした。
突然キレ出した男にも驚きましたが、それに対してなんの反応も見せなかった女性に、私は気味の悪さを感じました。
 
その日をさかいに、男は店に来なくなりました。面倒な客がひとり減って、私は内心ほっとしていました。

殺人事件を起こし逮捕された男

あの男が殺人事件の容疑者として逮捕されたのは、それから半年ほど経ったときのことでした。
 
深夜、スクーターに乗った若い男が通行人の60代の男性に執拗に暴行を加え、殺害するという事件が発生。各メディアを通じて大々的に報じられました。
ニュース番組などでは、そのときの一部始終が映った防犯カメラの映像が公開されました。
男が自転車で通行していた被害者の男性を呼び止め、その場に押し倒したあと、10分以上に渡って殴る蹴るの激しい暴行を加える様子が、はっきりと映し出されていました。
 
映像には、現場を通過する自動車や、立ち止まって遠巻きに見ている通行人の様子が映っていて、誰も被害者を助けようとしなかったことが問題だと指摘されました。
ワイドショーなどでは、コメンテーターやキャスターがみな口をそろえて、日本人のモラルの低下を嘆くような発言をしていました。
 
事件が起きた場所は、私が勤務する酒屋から数百メートルしか離れていない、住宅街の近くの路上でした。
自分の生活圏内でそのような凄惨な事件が発生するのは初めての経験で、私は怖くなりました。
容疑者はすぐには捕まらず、現場周辺はパトロールが強化され、あちこちで警察官の姿が見られ、パトカーも頻繁に行き来していました。
 
容疑者が逮捕されたのは、事件発生から2日後のことでした。
30代の男が妻と母親に付き添われて出頭したというニュースが流れました。
その夜、ローカルのニュースサイトを見た私は、衝撃を受けました。
逮捕された男の住所が、私が勤務する酒屋と同じだったのです。さすがに番地までは出ていませんでしたが、すぐ近くなのは明らかでした。
 
いったいどこのどいつだと思い、容疑者の名前で検索をかけてみたところ、なんと、あの男の写真が出てきたのでした。
一部のローカルメディアだけで公開されていた容疑者の顔写真。
それはまさしく、ビール券を持って買い物に来たあの若い男だったのです。
 
思わず背筋が冷たくなりました。
どこか嫌な感じの目つきをしたあの男。カウンターの前で突然キレだしたあの男。
そして、いつもぼーっとしていてなんの反応も示さない妻らしき女性。
それらがはっきりと私の記憶によみがえってきて、体が震えるくらい怖くなりました。
ひとつ間違えれば、私が殺されていたかもしれないと思い、ぞっとしました。
 
その後しばらくは、店のカウンターに立って接客するのが怖かったほどです。
いつまた、おかしな奴がやって来るかと思うと、酒屋の仕事を辞めたくなりました。
常連の客ならなんともないのですが、見かけない顔の客が入ってくると、思わず身構えてしまいました。


店主も先輩従業員も、あの事件にはさすがに驚いたようで、店内に防犯カメラを設置したほうがいいかもしれないと話していました。
 
 
逮捕後の報道で、容疑者の男が飲酒運転をしていたことがわかりました。
男は、クラクションを鳴らしてもすぐに道を開けようとしなかった被害者に腹を立て、暴行を加えたが、殺すつもりはなかったと話しているということでした。
 
店に来るといつも、妙にイラついた様子だった容疑者の男。
男といっしょに来てひとことも口をきかなかった妻らしき女性。
男が出頭する際に付き添ったというのは、おそらくあの女性だったのでしょう。
あの夫婦がいったいどんな生活をしていたのか、そのことがすごく気になりました。
男が殺人を犯したことよりも、あの夫婦の関係のほうが、今となっては気になります。



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この記事を書いた人

なかぞの

大阪府生まれ。22歳で文芸同人誌に参加。文学・アート系雑誌での新人賞入選をきっかけに作家業をスタート。塾講師、酒屋の配達員、デリヘルの事務スタッフなど様々な職を転々としたのち、現在はフリーライターとして活動中。足を踏み入れるとスリルを味わえそうな怪しい街並み、怪しいビルの風俗店を探し歩いている。

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