大阪の怪しいライブバーは女性スタッフが常連にだけ性的サービスをしてくれる【酒屋の配達員は見た!】

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大阪の怪しいライブバーは女性スタッフが常連にだけ性的サービスをしてくれる【酒屋の配達員は見た!】

「酒屋の配達員は見た!」

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なかぞの 0 540 2024/02/02
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2024年1月6日、大阪市淀川区十三の某ライブハウスに爆破予告メールが届くという事件がありました。

ライブハウスは当面の営業を休止、予定されていた公演はすべて中止または延期となり、チケットの払い戻しがおこなわれたようです。

結局、愉快犯の仕業だったようで、同月22日に無事営業を再開されましたが、昨年10月の火災に続き、またしても十三でこのような物騒な事件が起きてしまい、私は何だかもやもやした気持ちになってしまいました。

さて今回は、私が酒屋の配達員時代に納品に行っていた、ちょっと怪しいライブバーの話をしてみようと思います。

ツッパリ系オーナーが経営するライブバー

退職した従業員に代わり、その年の春から私がそのライブバーへ配達に行くことになったのでした。入居しているビルのオーナーが自ら経営しているライブバーで、もともとスナックだったところを改装して始めた店だと聞かされていました。

瓶ビールやリキュール類なんかを台車に載せてエレベーターに乗り込もうとした時、いきなり背後から女性の語気鋭い声が飛んできました

「そこじゃないよ!配達の人はあっち!」

おそらくどこかの店のママでしょう。私のところへ駆けてくると、「新人さん?搬入用のエレベーターはあっちやから」とビルの左側を指さしました。

「オーナーに見つかったら烈火のごとく怒られるよ、気を付けて」と言うと、その女性は足早にビルの中へと入って行ったのでした。

「烈火のごとく怒るって、どんだけ怖い人なん?」

自分が今からそのオーナーの店へ行くのだと思うと、何だか急に憂鬱な気分になってしまいました。


『ライブバーT』(仮名)と書かれたドアは開け放しになっていて、私が「○○酒店でーす」と声をかけると、すぐに中から「どうぞー」と返事がありました。

商品を抱えて入って行くと、バーカウンターの中に横浜銀蝿の翔みたいなリーゼントにサングラスといった出で立ちの口髭を生やした男がいて、私は思わず後じさりしてしまいました。

「烈火のごとく怒るとは、この手のタイプのことだったのか…」と思い、溜め息をつきたくなりました。

ところが、しゃべってみるとすごく穏やかな人柄だったのです。新人配達員の私に、「こちらへ置いていただけますか?」「空き瓶の回収は勝手にカウンターに入ってもらって構いませんので」と、丁寧な口調で説明してくれるのでした。

横浜銀蝿風のいかつい見た目とのギャップに唖然としながら、私はその日、最初の配達を終えたのでした。

この人、情緒不安定なの?

10日に1回くらいのペースで『ライブバーT』へ配達に行くようになったのですが、だんだんオーナーの様子がおかしいことに気づき始めたのです。

初めて行ったときは、すごく温厚な感じの人だという印象を受けましたが、次に行ったとき、えらくイラついている様子で、私が空き瓶の回収のためにカウンター内へ入ろうとすると、「勝手に入って来るな!」と怒り出したのです。

そうかと思うと、ものすごく憂鬱そうな顔をしていて、私が話しかけてもほとんど反応がない日もありました。納品書を渡し、料金を受け取るまでのあいだに5回以上溜息をついていました。

また別の日に行くと、宝くじで3億円でも当たったのかと思うくらい機嫌がよく、終始ニコニコしていたのでした。

そんな情緒不安定な感じは、その後もずっと続きました。

とつぜん全裸の女が出てきた!

たいてい営業時間前の昼間に配達に行くのですが、たまに留守にしているのか、ノックしても誰も出てくる様子がなくドアにも鍵がかかっていることがありました。

あるとき、やはりノックしても応答がなかったので、後回しにして先に別の店へ配達に行こうかと思ったのですが、ふとドアノブに手をかけてみると、鍵がかかっていなかったのです。

「こんにちはー。○○酒店ですがー」

ドアを少しだけ開いて声をかけてみましたが、応答はありませんでした。一歩中へ入ってもういちど声をかけたとき、カウンターとちょうど反対側にあるバックヤードのほうから、くぐもった声で「はいはい、どうぞー」と聞こえてきたのでした。

オーナーがアコーディオンカーテンの裏から姿を見せたのですが、どことなく様子がおかしいのです。寝起きのようにボーっとしていて、足元がふらついているようにも見えました。

オーナーはカウンターのスツールに腰かけると、しんどそうにふうーっと息をつきました。

空き瓶の回収を終え、カウンターから出ようとしたときでした。私は信じられないような光景を目にしたのです。

アコーディオンカーテンが開いて、そこから全裸の女が出てきたのです。女は私の姿を見てはっとした顔をすると、逃げるようにアコーディオンカーテンの向こうへと姿を消しました。

私は一瞬、幻覚でも見たのかと思いましたが、あれは紛れもなく生身の女の姿でした。ほどよい大きさのおっぱいと、生い茂った濃い陰毛まではっきりと見えました。

カウンターに腰かけたオーナーは相変わらずボーっとしたままで、女が出てきたことには気づいていない様子でしたが、ひょっとするとふたりは、あのバックヤードの中で怪しいことをしていたのかもしれません。

何やら裏がありそうな店だなぁ…。私は勘繰ってしまいました。

女の喘ぎ声が聞こえてくるライブバー

店に戻ると、私は全裸の女が出てきたことを先輩従業員に話しました。

「お前もついに見てしまったかぁ…」

先輩はニヤッと笑いました。何か知っているようでした。

「今度、営業時間中に配達に行ってみろ。もっとおもろいことがあるかもしらんで」

先輩は意味深な表情を浮かべ、私の肩をぽんと叩いたのでした。


それから2週間が過ぎたある夜のこと。『ライブバーT』から追加注文があり、先輩が私に配達を代ってくれました。

営業時間中とあって店内はかなり混雑していて、4人組のロックバンドが耳をつんざくような大音量で演奏していました。

カウンターに座って飲んでいる年配の男性客もいましたが、ほとんどがフロアに座り込んでバンド演奏を聴いている若い男女の客ばかりでした。オーナーはカウンターの中にいて、客の話し相手をしていました。

暗い中、観客の邪魔にならないよう隅っこを通って商品を運び込むのに苦労していると、若い女性スタッフが出てきて手伝ってくれました。テキパキと納品作業を手伝ってくれるその女性スタッフの顔を間近で見た私は、すぐにあのときの全裸の女だと気づきました。

照明も暗く大音量のせいで会話もままならなかったので、その女性スタッフに店の外で支払いをしてもらったのですが、そのとき初めて、彼女は私に気づいたようでした。

私に全裸姿を目撃されたことを思い出し、急に気まずそうな表情になる彼女。支払いのあいだ終始うつむいたままでした。

近くで見るとなかなか美人でスタイルのいい女性でした。歳は20代後半から30代前半くらいでしょうか。どことなくDo As Infinityの伴都美子みたいな雰囲気でした。

いちど全裸を見てしまっている余裕からか、私はつい彼女の体をじろじろと眺めてしまいました。彼女は支払いを終えると、私が「ありがとうございました」と言い終わらないうちに逃げるように店内へと戻って行きました。


1週間もしないうちにまた夜に追加注文があり、私は配達に行くことになりました。そこで初めて、先輩が言った言葉の意味がわかったのです。

オーナーはカウンターの中にいましたが、あの女性スタッフの姿はありませんでした。その夜はバンド演奏はなく、カウンターで飲んでいる30~50代くらいの男性客が数人いただけでした。

いつもの場所に瓶ビールやZIMAの箱を運び込んでいると、ふと、アコーディオンカーテンの向こうから女の喘ぎ声のようなものが聞こえてきたのです。

聞き間違いかなと思い耳を澄ますと、「あん、あん…あぁん…」と、やはり女の甲高い喘ぎ声が聞こえてくるのでした。

最初、バックヤードで誰かがAVでも見ているのかもしれないと考えましたが、先輩従業員の意味深な表情と「もっとおもろいこと」という言葉、そしてあの全裸の女のことなどから、ひょっとしたら…と思いました。

ヤク中だったツッパリ系オーナー

私は納品を終え、店に戻ると、すぐに先輩従業員に先ほどのことを伝えました。

「俺が言うた通り、おもろいことがあったやろ?あの店は常連客に性的なサービスを提供しとるっちゅうウワサや。バンドライブがある日は普通のライブハウスやけど、それ以外の日は常連客相手の風俗に変わるらしいわ」

先輩にそう聞かされた私は、あの美人女性スタッフが風俗嬢まがいのことをしている場面を想像しました。

私は先輩に、ときどきあの店のオーナーの様子がおかしいことを話しました。

「それは知らんかったなぁ。けど、あんなツッパリ系のおっさんのことや。どうせたちの悪いクスリでもやっとんのやろ」


それからしばらくして『ライブバーT』が休業していることを知りました。急に注文が途絶えたので店を見に行ってみると、張り紙がしてあったのでした。

その後、酒屋の店主が人づてに聞いた話によると、オーナーが大麻の使用容疑で逮捕され、あのビルも売却されて他の人の手に渡ったということでした。やはり、先輩従業員が言っていた通りだったわけです。


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当コラムコーナーは、実話もフィクションも入り混じっています。読み物エンターテイメントとしてお楽しみいただく目的で掲載しており、記事の行為を推奨したり、犯罪を助長するものではありません。

この記事を書いた人

なかぞの

大阪府生まれ。22歳で文芸同人誌に参加。文学・アート系雑誌での新人賞入選をきっかけに作家業をスタート。塾講師、酒屋の配達員、デリヘルの事務スタッフなど様々な職を転々としたのち、現在はフリーライターとして活動中。足を踏み入れるとスリルを味わえそうな怪しい街並み、怪しいビルの風俗店を探し歩いている。

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