こんにちは、元エロ本編集者の蒼樹リュウスケです。
素人投稿エロ雑誌は、素人の投稿者さんがエロい写真を投稿してくれなければ成り立たないジャンルのエロ本となっています。
しかし素人投稿者にとって、非常に大きなのが「身バレ」の問題です。
なにしろ素人投稿者は、エロ本編集者やAV女優さん・男優さんなどと違って「エロ専業者」ではありません。
皆さん、平凡な一市民として社会生活を営んでいるわけですから、まさか「エロ本にあの人が出ていた!」なんてウワサになるわけにはいかないわけですね。
そこで「身バレ対策」として利用されるのが「目線」だったのです。
素人投稿エロ雑誌の「身バレ対策」としての「目線」いろいろ
考えてみたら、数あるエロ本のなかで「出演者のほとんどに目線が入っている」なんて、素人投稿エロ雑誌くらいでしょう。
素人投稿エロ雑誌以外で、出演モデルのほとんどに目線が入っていたら、読者は納得しないはずです。
それが素人投稿エロ雑誌では「むしろ目線があるほうが良い!」なんて言われてもいたのですから、不思議なものですね。
目線の太さは投稿者が自分自身で希望できた
投稿者に入れる目線は、適当に編集者が入れていたわけではありません。
実際には投稿者自身が、写真を送ってくるときに「このくらいの太さで……」と希望してきたものを忠実に入れていたのです。
指定する目線の太さは、だいたい次のような基準となっていました。
・細目線 ……目の黒目部分が隠れる程度の目線
・普通目線……目の白目部分まで全体が隠れる程度の目線
・太目線 ……まぶたの上から下までが隠れる程度の目線
基本としてはこの3種類でしたが、希望によっては次のような目線の太さも。
・極細目線……目の上に髪の毛の太さ程度の目線を入れるタイプ、ほぼ丸見え
・目眉目線……まぶたの下から眉毛の上まで隠す極太タイプ
・眉鼻目線……鼻全体から眉毛までガッツリ隠す超極太タイプ
そうそう、忘れてはいけないのが「目線なし」も選べた点ですね。
目線なしだと当然顔すべてが丸見えで、知り合いに見られたら一発で誰だかバレてしまいます。
さすがに数はそこまで多くはありませんが、毎月何人かは「目線なし」の投稿者もいました。
「こんなに見られたくてたまらない変態がいるのか……」と、最初は驚いたものです。
すぐに慣れましたけれども。
目線の太さが掲載率や掲載スペースに影響していた
「じゃあバレたくない投稿者は、みんな極太目線を選ぶのでは?」と考えるかもしれません。
しかし話は、そう単純でもないんです。
なぜなら目線が太ければ太いほど、掲載スペースが小さくなってしまうため。
実際に手近なヌード写真を加工して、鼻の下から眉の上まで目線を入れてみてください。
どんなに美人でもわからなくなりますし、どれほどスタイルが良くても「エロさ」よりも「間抜けさ」「不気味さ」が出てきてしまうのではないでしょうか。
そのため編集側としては、目線が太すぎると使いにくい写真になってしまうわけですね。
そこで「普通目線」「細目線」の投稿者を、優先して使うわけです。
掲載スペースの広さは、掲載料にも関わりますし、なによりも投稿者にとって「こんなに広く掲載された!」と自慢にもなる、非常に重要なもの。
投稿者が単純に太い目線を選ばず、バレないギリギリを見極めて目線の太さを指定してくるのは、そんな理由があるわけです。
素人投稿エロ雑誌の投稿者は本当に目線だけで投稿者は正体を隠しきれていたのか?
実際に素人投稿エロ雑誌を目にした方によく聞かれたのが「本当に目線でバレないの?」という点でした。
確かに「目を隠しただけでバレないのか」は、不安になる点でしょう。
目以外の、鼻や口、顔の輪郭などは丸見えなわけですからね。
しかし実際、目を隠すとかなり人間の顔の印象は変わって見えるものなのです。
たとえば「スキー場でゴーグルをしている女の子はかわいく見える」なんて言いますようね。
これなんかが典型的で、目がわかるかわからないかで、人間の顔の印象はかなり変わるんです。
私が編集者をしていた頃も、読者から「この子、知り合いに似てるんだけど、○○県の人?」「この子の名前、××じゃない?」などの電話を受けた経験があります。
こういう電話は、万が一合っていても当然「違いますよ」と答えるわけですが、少なくとも私の経験では「正解!」となったことはありませんでした。
なかには「これは俺の嫁だ!」と怒鳴りこんできた読者もいましたが、結局ぜんぜん別人だった場合も。
「目って大事なパーツなんだな」としみじみと思った経験でしたね。
素人投稿エロ雑誌の目線は「ドキドキ感」を生み出していた
素人投稿エロ雑誌にとって、目線はなくてはならないものだった、と言えます。
全員が「目線なし」のほうが良かったのか、と聞かれれば「けっしてそうではなかった」と答えるでしょう(作業的には圧倒的に楽でしたが)。
それは目線があることで、読者に「この人、知り合いに似てる」とか「目線を外したらどんな顔なんだろう?」とか、さまざまな「ドキドキ感」を生み出してくれていたためです。
あえて「目線なし」ではなく「超極細目線」をリクエストしてきていた投稿者も、たとえ正体を隠す意味はなくても目線があるかないかで「素人投稿写真らしさ」、つまりは「ドキドキ感」を生み出すことがわかっていたためかもしれません。
すべて丸見えになっているエロが良いわけではなく、隠されているからこそ興奮できるエロもある、それがエロの奥深さと言えるでしょう。