日本の若い女性たちが〝出稼ぎ風俗嬢〟として国外へ出て行く現象については以前のコラムでも少し触れました。
今回は、とくに東南アジアにスポットを当て、現地の風俗街で働く彼女たちのリアルな状況をお伝えしようと思います。
「パパ活」に見切りをつけた女性たち
3年余りに及んだ未曽有のコロナ騒ぎにより、日本国内の風俗産業が大きなダメージを被ったことは間違いありません。
売り上げが激減した店舗は数知れず、風俗業に従事する女性たちの生活基盤も崩れて行ってしまいました。
その結果、SNSなどを通じて知り合った不特定多数の男性から金銭的援助を受ける、いわゆる「パパ活」に走る女性が急増しました。
「パパ活」によってなんとか生活基盤を再構築できるようになった女性がいる一方で、うまくいかず路頭に迷う女性たちも少なからずいたようです。
そんな中、一部の若い女性たちが日本国内での「パパ活」に見切りをつけ、海外へ出稼ぎに行くという現象が起きたのです。
出稼ぎ風俗業を仲介するエージェント
日本人風俗嬢に海外の風俗店を紹介するエージェントがいるらしく、彼女たちの出稼ぎの仲介をしているようです。そのエージェントについては詳しいことはわかっていませんが、おそらく何らかの形で反社会的勢力がかかわっているものと思われます。
エージェントに紹介され、香港、シンガポール、アメリカなどの風俗店に出稼ぎに行く日本人風俗嬢たち。彼女たちの中にはSNSでその様子を紹介している人もいました。
「海外出稼ぎ風俗業」には二通りの働き方があるそうです。ひとつは日本のソープランドのように店舗内に勤務して接客をするというもの。
もうひとつは、ひとりの客と数日~15日間の長期契約をするやり方で、基本的には毎日その客と会うことになるそうですが、丸一日拘束されるわけではなく、半日は自由時間だということです。
「アメリカ人のパパにラスベガスでの15日間契約で1万5000ドル、日本円で200万弱くらいの案件で、滞在費や旅行代はエージェントが負担してくれたから、めっちゃ稼げた」
そう話す27歳の出稼ぎ風俗嬢がいましたが、滞在費や旅行代をエージェントが負担してくれたというところが、ちょっと怪しいなと思いました。日本円で200万円近く稼いだとしても、あとでエージェントにふんだくられるのではないかと考えてしまいます。
シンガポールやドバイといった超富裕層の人口密度が高い国だと、1週間のパパ活で300万円ほど稼げる高額案件もあると言われていますが、実際のところどうなのかはっきりとはわかっていません。
詐欺要員といっしょに集められた風俗嬢たち
そんなリッチな暮らしぶりをSNSで紹介する彼女たちの情報はやはり眉唾物です。東南アジアへ出稼ぎに行った風俗嬢たちのリアルな状況が、最近になって少しずつ見えてきました。
「KKパーク」と呼ばれる、ミャンマーの大規模な特殊詐欺拠点が摘発された事件がニュースになり、日本人の特殊詐欺グループもかかわっていたことから注目を集めたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
東南アジア各地にこうした特殊詐欺グループの活動拠点が置かれていることは以前から知られていましたが、じつは、そこに出稼ぎ風俗嬢たちが結びついていることはあまり報道されていません。
たとえばカンボジアのシアヌークビルという港湾都市には、特殊詐欺グループの活動拠点が数多く点在し、「性の荒廃ぶり」は目に余るものがあるといいます。
学校やカフェ、レストランといった普通の街並みはなく、大人のおもちゃなどを販売するアダルトショップ、違法カジノ、風俗店ばかりが目立ち、KTV(連れ出しできるキャバクラ)の広告が街中のあちこちに堂々と貼られているそうです。
売春をあっせんする店が多いからか、近隣のスーパーマーケットはコンドームの品揃えが豊富で、街には性病クリニックの件数も多いといいます。
カンボジアにかぎらず、東南アジアの特殊詐欺グループの活動拠点となっているエリアには必ず「色街」が存在し、現地女性だけでなく、国外から出稼ぎに来ている女性たちも数多く風俗業に従事しています。
コロナ渦以降は日本人の出稼ぎ組が増加傾向にあると聞きます。彼女たちは、SNSを通じた、いわゆる「闇バイト」の募集に引っ掛かって集められた風俗要員です。
特殊詐欺グループは、彼らの活動に加担する詐欺要員を募集すると同時に、慰安婦や風俗嬢として使うための女性も募集しているのです。
彼女たちは、日本で働くよりも高い収入を得られるという甘い言葉に釣られて出稼ぎにやって来るわけですが、実態は少しも甘いものではないようです。
アパートから飛び降りた日本人風俗嬢
日本人風俗嬢がアパートの3階から飛び降りて逃亡しようとした事件があったことを、今年に入ってある週刊誌が報じました。
そのアパートは特殊詐欺グループが一棟借りしている物件で、国外から出稼ぎにやって来た女性たちが多く居住していました。彼女たちはほとんど軟禁状態で、かなり過酷な生活を強いられていたようです。
逃亡を図った日本人女性が働いていたのは、特殊詐欺グループの活動拠点となっているシアヌークビルではなく、比較的高単価の風俗店が充実している首都のプノンペンだったそうですが、実際は思っていたほど稼ぐことができていなかったのかもしれません。
カンボジアの風俗店の価格帯は「下は50ドルから上は900ドルまで」、日本円に換算すると「7,400円から130,000円」と幅広くなっていますが、1回のプレイで900ドルというのはよほどハイクラスの風俗嬢で、そこまでの高給取りの女性はめったにいないそうです。
アパートから飛び降りたその日本人風俗嬢も、ひょっとするとかなり低価格帯の店で働かされていたうえ、軟禁状態の生活に耐えられなくなり逃亡を図ったと推測されます。
中国語を勉強する〝港区女子〟の風俗嬢
カンボジアの特殊詐欺拠点で働く日本人風俗嬢の中にひとり、興味深い女性がいたそうです。いわゆる〝港区女子〟だったというその女性。じつはいま中国語を猛勉強しているところなのだとか。
「通訳なら固定給がもらえ、チームが大きく儲かったときはご祝儀にもあやかれる」
そう話す自称〝港区女子〟の出稼ぎ風俗嬢。
特殊詐欺グループを牛耳る現地の中国系マフィアと、日本人グループとのあいだを取り持つ通訳として働くために中国語を勉強しているのだと言います。
彼女は軟禁状態の生活から抜け出すために、自ら望んで通訳として詐欺グループの活動に加担するつもりなのでしょうか?
その結果、たとえ労働環境が少しはましになったとしても、犯罪行為にはちがいありません。彼女は完全に反社会的勢力の闇に取り込まれてしまっているように思えます。
これからも国外へ出稼ぎに行く女性たちは増え続けるのかもしれません。若い女性たちをそこまでさせる動機がいったい何なのかはわかりませんが、少なくとも風俗産業において、すでに日本が「稼げない国」になってしまっていることは事実でしょう。
近い将来、日本の風俗業界がどのように変化していくのか、不安はありますが、じっくりと見守っていきたいと私は思っています。