アタシは担当の一番のエース！？超有名ホストに貢ぎ狂ったAV女優の末路

あれはまだしらいしがAV女優だった頃。撮影現場で色々な女の子としょっちゅう顔を合わせていた。

最近のAV業界は撮影のために借りるスタジオ代さえケチっているので、「とにかく一日で全部撮っちまおう」スタイル。
 
つまり何本もリリースする作品を、まとめてひとつのスタジオで撮影しちゃお！というヤツだ。
 
現場にはゆったりとした空間は流れておらず、終始せかせかしている。
 
ADは走り回り、あちこちでカメラが回る、監督は指示を出し、メイクさんは次々と現場入りする女優の顔を作る。余裕なんて皆一ミリもないのだ。
 
よくある素人企画もののメーカーだと、一日に現場入りする女優が10人近くいて、撮り終わったらハイ次、ハイ次、と人がどんどん回転している。

業界用語で香盤というのだが、AV業界の香盤はアバウトながらイラストの通り。
（カッコ内には所属する事務所の名前が書かれていることも。）
 
作り手の人間からすれば女優も多いし、人の出入りも激しいしで勘弁してくれレベル。しかし女優からすると、こういった現場は「比較的ラク」なのだ。
 
なぜなら素人企画ものだからこれといった設定もないし、台本を覚え込む必要はほぼない。
 
とりあえず一絡みすればすぐ帰れるのだから「今日はラク～」くらいの気持ちで来ている子は多い。
 
現場人と女優の気持ちは大きくズレているね！
 
だからクッッッッッッソ忙しいのに、女優はのほほんとしている・・・なんて腹立つ現象もいっぱい起きているのだ。
 
空気が読めない女優こそあまり使いたくないのがメーカーの本音。
 
しかし女の子には厳しく言えないし、そこそこ売れている女優なら空気が読めなくとも、売り上げのために起用しなくてはならない。
 
そんなバッタバタの現場の中空気を読めない、いや、ガン無視している女優と出会った。
 
仮に名前はAとしておこう。
 
結論から言うと、Aは重度のホスト狂い（通称ホス狂い）で、頭のねじが3本以上外れていたのだった。

聞きたくもないのに始まる、マウント大会（参加者一人）

Aは私より少し後に現場入りをしてきて、のほほんとメイク待ちをしていた。
 
年齢はしらいしよりも少しばかり上で、人妻系に出演しているらしい。体型もむっちりぽっちゃりだったが、愛嬌のある人という印象だ。
 
ハキハキしていて、初対面のしらいしにさえたくさん話し掛けてくれる。
あまり女優間の交流を持たない自分にとっては少し戸惑ったが、悪い気はしなかった。
 
メイクさんが「お待たせ～」とAの顔に化粧水をつけ始める。
 
「寝不足で肌荒れしちゃって」と漏らすA。こういったメイクさんとのコミュニケーションは非常に大切で、敏感肌なら刺激の強い化粧品は使わないなど、配慮が出来るからだ。
 
「あら～じゃあ低刺激のものにする？」と相談を始めた二人。これはよくある現場の会話。
 
しらいしは撮影待ちをしていたので、ひたすらスマホをいじりながら控室でボーっとしていた。よくあるメイクと女優の会話も、ADの休憩も気にならない。ただひたすら、控室で待っているだけだ。
 
しかしそこで、衝撃的な発言が耳に入ってくる。
 
「もー肌荒れしちゃってるのもね！あの人のせい！私もう三カ月以上休みなしで働いてるのにさぁ！！！！！！」
 
三カ月以上休みなし・・・？その言葉に耳を疑い、ふとAへ視線を流す。しかし彼女は口調の割にニッコニコで、どこか嬉しそうだった。
 
メイクさんも「そんなに撮影忙しいの～？」なんて聞いている。
 
「違うのーーー！！！担当しているホストが有名人だから―！！！働かないとお金が遣えないのー！！！！」
 
あっけらかんと「担当」「ホスト」「お金が遣えない」という刺激の強いワードを並べてくるA。低刺激の化粧水なんてちょー可愛く見えちゃうレベル。
 
しかも聞いても居ないのに、とにかく一人で喋り出すのだ。
 
「ほんとにねー昨日まで●●県の出稼ぎいてー客層がちょー最悪だったの！こちとらNS（ノースキン）までしてやってんのにさ！全然バックでないんだよ！？私AV女優だよ！？意味わからないじゃん！？本当、地方のちんこ達ってうざいの！！！！！でも担当が電話くれて―、メンブレしてたけど復活してー&%#$%%」
 
多分普段から仕事ばっかりしてて、腹を割って話せる友達もいないのだろう。ストレスが溜まりまくっている感じしかしなかった。お客さんを「地方のちんこ達」と比喩するのには笑ってしまったけど。
 
まるで寝るまで喋り続ける初代ファービーのように、彼女は話を辞めない。
 
「有名ホストのエースって大変なのよ。あ、私が一番お金遣ってるんだけどね。もう寝る暇も遊ぶ暇もないしー。でも有名な人を指名するってそういうことじゃない？そういう覚悟がないと指名なんかしちゃだめじゃない？生理も止めてなんだってやらなきゃいけないしさぁ。もうほんと、やんなっちゃう！！！」
 
Aはやっぱり口調の割に、嬉々として語っていた。
 
別に指名してるからといって、全員が全員それをやらなきゃいけないことなんて無いだろう。
 
まるで徴兵令を出されて赤紙が来た人並の義務感を勝手に背負っているだけのようだ。
 
「もうねーでもしょうがないの。彼が私に惚れたって言うからさ・・・＾＾あ、私からじゃないよ？向こうから好きになられただけだから＾＾私は最初は好きじゃなかったから！もう結婚の予定も立っててね、来年にはホスト上がるって言ってくれてるんだぁ・・・＾＾＾＾＾＾」
 
その後も「妊活のことも考える予定」「親御さんにも会わせてもらう予定」「指輪を見に行く予定」と、今後の全ての予定を見事にペラペラ話していた。
 
全部「予定」なんだな、思って聞いてましたけど。

彼女の現在は・・・？

風邪の噂で聞いたのだが、Aは結局その有名ホストとやらに相当入れ込んだらしい。
 
身を粉にして働き、自分自身にお金をかけなければ貯金はできる。結果的に数千万ほど貢いだとかなんとか。
 
しかしながら出稼ぎを繰り返しているので、まともに現場へも入れない。
 
オファーが来ても断り続け、たまに撮影へ行けば現場で寝てしまうという失態を犯し続けたそうだ。
 
どれだけ人気があっても、事務所から押されても態度が悪くては二度と使ってもらえない。
本人も「撮影のギャラが安すぎる」と初めて会った日も文句を言っていたので、嫌々やっていたのだろう。
 
結果的に女優業は引退してしまったようだ。
 
そして挙句の果てに結婚・出産などの「予定」を立てていたホストくんとは終わりを迎えたらしい。
 
よくある「結婚営業」、結婚をエサにして引っ張り続けるただの営業だったようだ。いや、誰もが聞いても営業と分かる話だったけど。
 
現在の彼女は都内でも働く場所がなくなり（転々としすぎて）、出稼ぎも行きつくし、今は地方の激安風俗に勤務している。
 
年齢も年齢だし、風俗のAV女優売りも賞味期限が短い。
 
若いのならいくらでも行く所はあるものの、歳を取れば行く場所さえ制限されてしまう。
そして引退してしまったのだから、現役から離れるのはなかなかの痛手なのだ。
 
ただ恐ろしいのが、こうなってもまだホストに行き続けているということ。
 
これは確証的で、私は初対面の日ラインを交換させられたのだが、今でもタイムラインにホストくんとの2ショット写メが載っている。
 
「●●君に会うからお仕事がんばりまぁす」的な。
 
こうなるともう頭のネジが死ぬほどぶっ飛んでいるとしか思えない。
 
普通の感覚を持ち合わせていたらホスト遊びを卒業するはずだが、また新たな依存先を見つけて延々と風俗勤務を繰り返すのだろうか。
 
しかも誰もが見ているであろうタイムラインに、堂々と二人の顔を載せていることさえ恐ろしいわ。
 
ここまでいくともう不治の病みたいなもんで、「ホスト遊び」なんてカラッとしたものではなくなっている気がする。
 
遊びを遊びとして割り切れない女の子で、ホストクラブはある意味成り立っているのかもしれない。
 
でもある意味ではこの人の生き方も、幸せのひとつなんだろうなぁ、と思ったしらいしなのであった。

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