ぼくは小学4年生の春から中学2年生の夏まで、地元の拳法道場に通っていた。しかしあまり才能がなかったようで、4年以上も通って四級(緑帯)までしか進むことができなかった。
受験勉強で塾通いが忙しくなり、しばらく道場を休部していたぼくだったが、高校1年生のとき、かつての稽古仲間だった中学時代の同級生・水谷に誘われ、道場通いを再開した。そしてその夏、全支部合同でおこなわれる3泊4日の合宿に参加することになったのだった。
楽しい合宿のスタート
ぼくたちが訪れた先は、京都府北部の海沿いの小さな町。車もほとんど走っておらず人の姿もまばらで、すごく静かなところだった。合宿所は海岸線から徒歩15分ほどの場所にあるペンションだった。もともとユースホステルだった建物を現在のオーナーが買い取り、ペンションとして営業しているのだと聞いていた。
ユースホステルの建物をそのまま使っていることもあり、敷地は広く、客室の数もちょっとしたホテルくらいはあったと思う。
しかし、ぼくたち男子部員が寝泊まりするのは畳敷きの大部屋で、ちびっ子部員からおっさん部員まで約40名がみなそこで布団を敷いて雑魚寝することになった。15名ほどいる女子部員と女性指導員には2名ずつの個室が用意されていた。
どうせなら男女入り乱れて雑魚寝をしたかったが、それはさすがにありえない。だが、こういう合宿ならではのエロネタというものは必ずどこかに転がっているもので、到着したその日の夜、ひとりのおっさん部員がうれしい発見をしてくれたのだった。
トイレから女風呂を覗き見
廊下の先のトイレから大部屋へ戻ってきた40代のおっさん部員が、禿げあがった頭をぺたぺた手で叩きながらこう言ったのだった。
「おいっ、お前らっ、ええもん見せたるから付いてこい!ただし15歳以上に限る。子供は来たらあかん!」
意味を察したぼくと水谷は顔を見合わせ、その谷本(通称:谷やん)というおっさん部員に付いて行った。他にも10人くらいの若い部員たちが便乗した。
「お前らの好きそうなやつや。見てみいっ!」
谷やんがトイレの窓を開け、うれしそうな顔で指さした。
「おぉぉっ!」
男子部員が一斉に歓喜の声を上げた。視線の先には、風呂場で体を洗う全裸の女性たちの姿があった。
ぼくたちが宿泊している建物はコの字型に建っていて、ちょうど向かい側の女風呂を見下ろせる位置に男子トイレがあったのだ。
女風呂の洗い場のあたりが丸見えになっていて、シャワーで湯を浴びる女子大生部員や、手で股間をごしごし洗う30代くらいの女性指導員の姿に、ぼくたち男子部員の目は釘付けになっていた。目を凝らすと、女子大生部員のピンク色の乳首や陰毛まで見えた。女性指導員はなかなかの巨乳だった。
「今日はここまでや!お前ら、部屋に戻れ!」
谷やんがぼくたちをトイレから追い出した。ふと見ると、彼のパッチ(男性用のタイツみたいな肌着)の股間部分は大きく盛り上がっていた。
「うわ~、たまらんかったぁ」
部屋に戻ると、水谷が溜息まじりに言った。ぼくも半勃起状態の股間を手で押さえながら同調した。
少し遅れて戻ってきた谷やんは、えらく澄ました顔をしていた。
「あのおっさん、完全に賢者モードに入ってるじゃん。トイレで抜いてきやがったよ」
水谷が小声で言った。ぼくだってできれば今すぐにでも抜いてしまいたかった…。
女子部員を岩陰に連れ込んでセックスするおっさん部員
2日目から本格的に稽古が開始された。朝6時から海辺をジョギングし、朝食をとったあと、ペンション敷地内の芝生の広場で裸足になって全体練習をした。
全員で声を出して、突きと蹴りをそれぞれ1セット100本ずつ、それを5セットおこなった。ブランクのあったぼくと水谷は、3セット目の途中で早くも腕と脚が上がらなくなってきた。
谷やんは誰よりも威勢が良かった。「オイサーッ!オイサーッ!」と大きな声で気合を入れ、汗をまき散らしていた。彼は一見、頭の禿げたただのエロおやじに見えるが、じつは黒帯で三段を取得していた。大会でも優勝したことがあるほどの腕前だった。
全体練習が終わると、ぼくはくたくたになっていた。水谷は食欲旺盛で昼食のカレーライスをおかわりしていたが、ぼくは途中で食べあぐんでしまった。
「無理すんなよ。残ったら俺が食うたるさかい」
隣のテーブルから谷やんが声をかけてきたが、ぼくは何とかカレーライスを最後まで食べきった。
昼食後、2時間ほど自由時間があった。海が近かったので、釣りをしたり、水着に着替えて海水浴を楽しむ部員は多かった。
この時になってようやく、なぜ谷やんが朝っぱらからあんなに上機嫌で気合が入っていたのか理由がわかった。
ぼくと水谷が同年代の男女で集まってビーチボールで遊んでいると、谷やんが水着姿の女子部員と一緒に海に入って行くのが見えた。
30代前半くらいのスタイルのいい女性だった。彼女は恥ずかしそうにしながら、谷やんに手を引かれて海へ入って行った。谷やんは満面の笑みを浮かべていた。
「わたし、ぜんぜん泳げないんですけど…」
それ以上先へ進みたがらない女子部員をなだめる谷やん。彼は嫌がる女子部員を背中に負うと、ウミガメのようにゆっくりと泳ぎ出したのだった。
「うわー、あのおっさん何やってんだよぉ。ぜったいエロいこと考えてるよぉ」
水谷が口をとがらせた。
ふたりは100メートルほど沖へ出ると、そこから左へ方向転換して岩場のほうへ泳いでいった。ぼくと水谷はビーチボールを抜け出し、海岸を走って岩場へ向かった。
死角になる場所から岩陰を覗き見たぼくたちは、思わず深い溜息を漏らした。谷やんと女子部員があられもない姿で絡み合っていたのだった。
仰向けになった女子部員に谷やんがおおいかぶさり、露わになった彼女の乳房を弄んでいた。谷やんはすでに全裸だった。
「あんっ、あんっ、あんっ、あぁん…」
女子部員は目を閉じ、鼻にかかった甘ったるい声で喘いでいた。
谷やんがビキニをずり下ろし、彼女の両脚を開いた。
「あぁんっ、イヤだっ」
彼女が恥ずかしそうに顔をそむける。片方の足首にビキニが引っ掛かって揺れていた。
「オイサッー!」
谷やんが女子部員の股間に勢いよく突っ込んで行き、彼女がひときわ大きな喘ぎ声を上げた。
「オイサッー!オイサッー!」
谷やんは彼女の股間にガンガン腰を打ち付けていった。そのたびに彼女の体がのけ反り、悲鳴のような甲高い声が上がった。
「オイサッ、オイサッ、オイサッ、サッサッ……」
谷やんの腰の動きが徐々に速くなっていく。女子部員はすでに昇天してしまったのか、ぐったりした様子で、時折「あっ、あっ」と短く喘ぐだけだった。
ぼくは頭の中が真っ白になっていた。なかば放心状態で、じっとふたりの絡みを見ていた。勃起はしていなかったが、我慢汁が漏れ出ているのがわかった。水谷も同じように呆然とした顔をしていた。
「オイッ、サァッー!!」
渾身の気合を込め、谷やんが彼女のお腹の上に勢いよく射精した。ふうーっと大きく息をつくと、後ろに倒れ込むように腰をついた。女子部員のほうは相変わらずぐったりしていて、すぐには起き上がろうとしなかった。
体育倉庫で立ちバック
夕方の稽古は体育館を使っておこなわれた。技の練習や乱捕りが中心で、朝の全体練習よりは楽しかった。谷やんは相変わらず気合が入っていたが、例の女子部員の姿はなかった。体調不良で部屋で休んでいると、他の部員から聞かされた。谷やんの打ち込みが強烈すぎたのかもしれない。
その夜もまた、トイレから女風呂を覗き見した。覗かれていることに彼女たちが気づく様子はまったくなく、ぼくたちは思う存分、目の保養をすることができた。
水谷は「今日は部屋で休んでるから」と言い、女風呂を覗きに来なかったが、ぼくが大部屋に戻ったとき、彼の姿はなかった。
消灯時刻の30分前になっても水谷は戻って来なかった。ぼくは彼を探しに行った。途中、同じ支部に所属している男子大学生部員に会い、水谷を見なかったかと聞いたことろ、こんな答えが返ってきた。
「あー、あいつ今ごろ興奮しすぎてぶっ倒れてるんじゃないの?」
大学生部員はニヤッと笑うと、体育倉庫に行ってみたらわかると言い、意味ありげな表情でぼくの肩をぽんと叩いた。
体育館の前まで来ると、ちょうど体育倉庫の窓のあたりから灯りが漏れているのが見えた。
そーっと近づいて窓から中を覗いて見たぼくは、思わず息をのんだ。
水谷が若い女の子とセックスをしていたのだ。彼女は昼間ぼくたちと一緒にビーチボールで遊んでいたメンバーのひとりで、他の支部から来ている竹内涼子という名前の茶帯の部員だった。たしか高校3年生だったはずだ。
彼女は壁に手をつき、丸裸のお尻を突き出して喘いでいた。水谷が立ちバックの体勢で腰を打ち付けていた。
「あっ、あっ、あっ、あっ…あぁん、だめっ、イクっ!」
竹内涼子の甲高い声が窓から漏れ聞こえてきた。あまりに衝撃的な光景にぼくは興奮してしまい、その場で危うく射精しそうになった。
ふたりがいつの間にそんな関係になっていたのかはわからなかったが、ぼくは水谷が羨ましくて仕方なかった。
もうここまで見てしまったのだから黙っていてもしょうがないだろうと思い、ぼくは彼を驚かすつもりで窓を叩いてやった。水谷は目を丸くしたが、すぐにニヤリと笑うと、こっちへ来いとぼくに手招きした。
ぼくが体育倉庫の扉を開けたときには、水谷はもうフィニッシュしたあとで、全裸のまま床の上であぐらをかいていた。
竹内涼子は壁際で裸の体を隠すように三角座りをしていたが、ぼくが入って行くと恥ずかしそうに顔をそむけた。脚の間から秘部がチラ見えしていて、ぼくは迂闊にもふたりの前で勃起してしまった。
素潜りしながらこっそりお尻を触ってみたら…
消灯時刻を20分も過ぎて部屋に戻ったぼくと水谷は、師範代に咎められ説教されたが、ぼくの頭の中はまだ先ほどの余韻でぼーっとしていた。
翌朝のジョギングのとき、竹内涼子はぼくたちと会っても素知らぬ顔だった。全体練習で隣どうしになっても、まったく口をきかなかった。
昼食後の自由時間、ぼくは年齢の近い部員数人と岩場で素潜りをし、魚を採ったりして楽しんだ。水谷は道着を着たままどこかへ姿を消してしまった。また竹内涼子とふたりで体育倉庫にしけ込むつもりなのかもしれない。
一緒に素潜りをしていたメンバーの中に、嘉陽まなみという大学1年生の黒帯の女子部員がいた。彼女は決して美人ではなかったが、男好きだという噂があって、ぼくもこの機会にあわよくばと考えていた。
嘉陽まなみは高校時代は水泳部に所属していたらしく、この日は競泳用のハイレグタイプの水着を着用していた。素潜りで魚を探すふりをしながら、ぼくは彼女の下半身や乳首ポチを盗み見てひとりで興奮していた。
しばらくすると他のメンバーは場所を移動し、その岩場でぼくと嘉陽まなみはふたりきりになった。
せまい岩場だったので、泳ぎながら何度も彼女と体が触れ合った。ぼくの股間のモノはさっきからずっと半勃起状態をキープしていた。
だんだん我慢できなくなってきたぼくは、いけないことだと思いながらも、水の中ですれ違う際に、さりげなく彼女のお尻に手を触れてしまったのだった。
ところが彼女は触られたことに気づかなかったのか、まったく反応を示さなかった。調子に乗ったぼくは、もういちど彼女のお尻を触ってみた。
すると、彼女がこっちを振り返ってニヤッと笑ったのだった。これはOKのサインに違いないと思ったぼくは、そのあとの夕稽古で思い切った行動に出たのだった。
乱捕りの練習中に女子部員にエロ技を仕掛けてみた
夕方の稽古が始まっても、水谷は姿を見せなかった。体育倉庫で竹内涼子とふたりして昇天したままぶっ倒れているのではないかと思ったが、そうではなかった。
「あいつら、えらいことしよったなぁ。破門されよるかもしらんで」
谷やんがぼくのところへ来て笑いながら言った。
水谷と竹内涼子が体育倉庫で絡み合っているところを男性指導員に見つかってしまったというのだった。ふたりは今、師範の部屋で事情を聴かれているそうだった。
「ちょうど腰振ってる真っ最中やったらしいわ」
谷やんは小声で言うと、うれしそうな顔をしてぼくの背中をバシッと叩いた。
このハゲおやじの無神経さにはあきれた。「お前が破門されればいいのに」と思った。「オイッ、サァッー!!」の瞬間をカメラで隠し撮りしておくべきだった。
この日の夕稽古は乱捕りが中心だった。ぼくたちは防具を付け、大会のときのような実践さながらの練習をした。
中学生以下は少年の部、高校生以上は一般の部と、それぞれわかれて乱捕りをおこなった。各部員3人ずつくらいの相手と対戦することになり、ぼくの3人目の相手がたまたま嘉陽まなみだった。
道着を着て黒帯を締めた彼女は凛々しく見えたが、ぼくの中ではまだ先ほどまでの競泳水着姿のイメージが残っていて、つい下心を出してしまった。
彼女のほうから先制攻撃をかけてきたが、ぼくはそれを上手くかわすと、彼女の首筋に手をかけ、足を払って投げ技に持ち込んだ。しかしぎりぎりのところで彼女が踏ん張り、投げ技はなかなか決まらなかった。
彼女の道着がはだけ、下に着ていたTシャツが丸見えになった。ぼくの鼻先数センチのところに彼女の胸のふくらみがあった。
その瞬間、彼女のお尻を触ったときの映像がフラッシュバックしてきて、血迷ったぼくは、彼女の胸を思いっきり鷲づかみしてしまったのだった。
「ちょ、ちょっと…何すんのよっ!」
彼女はぼくの体を引きはがすと、顔面に正拳突きを打ち込んできた。不意を突かれてうろたえているところに、今度は渾身の前蹴りが飛んできた。ぼくは後ろへ吹っ飛ばされ、一回転して床の上に仰向けに倒れた。
彼女の一本勝ちで終わった。試合後ぼくは審判から注意を受け、さらに支部長からも説教され頭を数発殴られた。
海の中でお尻を触ったときから彼女はぼくに気を許していたと思っていたのだが、そうではなかったようだ。本当に女心というのはよくわからないものだと思った。
嘉陽まなみにノックアウトされ、支部長から厳しく指導されたことですっかり懲りたぼくは、その夜は女風呂を覗きに行かなかった。谷やんは相変わらずで、その後も例の30代の女性部員と上手くやっていた。
水谷と竹内涼子は結局、破門にならずに済んだ。だが、ふたりとも道場には居づらくなったのだろう。竹内涼子は合宿が終わるとすぐに退部届を出し、水谷も夏休みが明けるともう道場には顔を見せなくなってしまった。
ぼくは合宿の帰りのバスの中で、嘉陽まなみに乱捕りのときの非礼を詫びた。彼女は「今度やったら確実にぶち殺すからね」と言い、ニコッと笑った。