「わたしの美人妻を、貴方に寝盗られたいんです…」という変態夫婦の要望に応えてみた

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「わたしの美人妻を、貴方に寝盗られたいんです…」という変態夫婦の要望に応えてみた

砂糖みりん 0 3,906 2016/02/15

 筆者は一時期、いっさい身分を隠し、趣味で変態ブログを開設していた。
 S性の強い内容を掲載していたためか、筆者のブログのメール欄からメッセージを送ってくる自称・Mのオトコが多かった。

『わたくしめを下僕にしてくださいませ』とか、『人間椅子になりたいです』とか『ぜひとも便器としてお使いください』とか、そういう願望メールが多数、来た。ほとんどがひやかしで、書いて送ってオナって満足という、やからばかりだ。
 いつものようにメールボックスを開封した。椎名(仮名)と名乗るひとりのオトコからメールが届いていた。ほか多数の、つらつらと願望のみを並べたオナニーメールとは一線を画するものだった。

わたしは妻を愛しています。ですが……

 メッセージの件名には《NTR願望の男です》と、書かれていた。
 NTRとは……寝盗られ願望の隠語。SM掲示板なんかではよく見かけるトップクラスの〝願望〟だ。そして内容はこうだ。

《はじめまして。アミ様。(筆者が使用していたブログの名前) ブログをいつも楽しく拝見しております》そこから少し、筆者のブログへの感想を述べ、本題に入った。

《わたしの妻はわたしより十五歳年下です。手前味噌で恐縮ですが……わたしの妻はとても美しく、わたしはそんな妻をたいへんに愛しております。愛しくて愛しくて仕方がないのです。するとある日、最愛の妻がだれか他人に襲われる、という妄想が頭をよぎるようになりました。ただの妄想とはいえ考えただけでも気が狂いそうです。おかしくなりそうです。とても死にたくなる、それほどです。それからというもの、妻が犯される……そして悦びの嬌声をあげている、そんな妄想がノイローゼのようによぎるようになりました。それと同時にわたしは犯されている妻の姿を興奮し、勃起するようになりました。そして自慰をする……えも言われぬ快感が身体中をかけめぐります。脳でイク、という感じです。しかし、いざ愛する妻と営みをしようとすると、行為ができなくなってしまいました。わたしはおかしくなってしまったのでしょうか?》

 長い前置きがあって、こう続いた。《アミ様にお願いがございます。わたしの妻を寝盗って頂けませんでしょうか? 見知らぬ男に寝盗られるのは耐えられません。アミ様、無理なお願いをしているのは承知です。ですが、どうか、わたしを救って頂けませんでしょうか?》

夫婦は実際に現れた

 アミ様、こと筆者は、船橋駅で椎名夫妻と待ち合わせをした。とあるコーヒーショップで午後5時……と、約束を交わしていた。筆者は待ち合わせ時間の五分前にコーヒーショップに到着した。すると、ひとりの男性が筆者に声をかけてきた。
「あの……アミさんでいらっしゃいますか?」
 突然だったので筆者は少したじろぎながら、「ええ……。そうです」と返事をした。約束時、筆者は『黒のトレンチコートにブーツでうかがいます』と知らせてあったため、すぐに分かったようだ。
 椎名はきちんとした身なりで品がよく、年齢は50そこそこかな、といった風体だった。頭髪にほんの少し白髪がまじっている。筆者はひとまず打ち合わせのためにコーヒーを注文しようとすると、「わたくしが払いますので」と購入してくれた。きちんとしている。
 奥の席に腰掛けていたのは華奢で色白、小顔の女性だった。芸能人でいえば……常盤貴子に似た、美人だった。だが、正直、若くはない。貴子さん(仮名)はうつむいたまま少し目線をあげて小さく頭をさげた。

初対面でホテルにチェックイン……

 サラリーマンで溢れるコーヒーショップ内での会話はこんな感じだった。
 椎名「アミさんが想像通り、中性的なお方で良かったです。女性的過ぎる……というのもわたしの趣味とは違っておりまして」

 筆者「はぁ。で、お話はメールの通り……」
 
 椎名「そうです。妻……貴子を、その……」

 その間、貴子さんはうつむいたままだった。不機嫌な様子にも見えた。が、ほんの少し頬を赤らめているような気もした。
 椎名「では、さっそく」と、店を出た。貴子さんを真ん中にして三人は船橋駅の脇の路地裏を歩いた。会話はない。椎名があらかじめ探しておいた、というホテルにチェックインした。受付のおばちゃんは少し妙な顔をして、部屋のキーを出した。

ペニスバンドで……

 入ったのは古びた和室だった。団鬼六の小説の世界であるまいし……筆者は少し戸惑った。この日、あらかじめ椎名と打ち合わせメールで決めていた〝ペニスバンド〟を、筆者は持参していた。椎名は「さぁ、どうぞ」と言った。そして、「あ、そうだ。設定があるんです。部屋のドア……は、ないから、このふすまでいいです。ふすまをいきなり開けて、そのまま乱暴に貴子に襲いかかって欲しいんです」と、言った。筆者はどうも気乗りのしないままで、勃起状態のペニスバンドを股間に装着した。服は着たままなので実に間抜けな格好である。そして椎名の指示通り、ふすまの外へ出たあと、「どうぞ!」という椎名の掛け声とともに部屋に入った。そしてちょこん、と正座をしている貴子さんの肩に手を置き、慎重に押し倒した。
「そこで、フェラさせてください!」と、椎名が言った。筆者は戸惑いながら、疑似ちんぽこであるペ二バンを貴子さんの口のなかに挿し込んだ。

「貴子! しゃぶれ!」
と、煽っているのは筆者……ではなく、椎名である。

 貴子さんはしぶしぶ、といった感じで舌を出し、ペ二バンを舐めた。不味いアイスキャンディーでも舐めているかのように、如何にもイヤイヤ、である。

「貴子! どうだ? 感じてるだろ!」

「貴子! おまえは本当にいやらしいオンナだな!」

 椎名が随所で挟む言葉に、筆者も貴子さんもどんびきしている。

 結局、椎名の願望は筆者の装着したペ二バンを、妻・貴子にフェラさせる……と、いうことで気が済んだらしい。

「はい、ありがとうございました!」と、椎名は立ち上がった。
 筆者は一応、「挿入は……」と訊いた。すると椎名は頭を掻きながらこう言った。
「いやぁ、実はですね。わたし最近、勃たないんですよ。だからそのペニスを貴子のおマンコに挿れて貰っちゃうと、貴子のやつ、味をしめて浮気でもするんじゃないかって心配だもんで……」と、言った。「おマンコは使わせないようにしてるんです」

 筆者はペ二バンを外し、貴子さんはうがいをした。筆者と貴子さんはいっさい、言葉を交わしていない。椎名が「いや~、興奮しました。やっぱりホンモノはいいですね。妄想が現実になっちゃってこんなに興奮したのはひさびさですよ!」と、饒舌に語った。

 三人でホテルを出たあとで、椎名は「一杯どうです? ご馳走しますんで。お互いに性癖について語らいませんか?」と赤提灯を指した。筆者は丁寧にお断りをしてひとり、船橋駅に向かった。バッグのなかのペ二バンが、今もなお、もの悲しく勃起している……。



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この記事を書いた人

砂糖みりん

職業売文家のエロ放浪者です。フェチからアングラ、サブカルまで、とにかく足を踏み入れてみなければ気が済まない生粋の変態(変質者!?)です。

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